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未だに憧れる(その2)


未だに憧れる【ある人】の話。

続きです。


中学へ入学し、念願のサッカー部へ入った当日に起こった事件です。

経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、所謂 先輩という初体験 です。


 初めに起こった事件は、これからへの期待を胸に抱いた 3分の2が未だ小学生 な私へ【その人】からの洗礼でした。

すでにキャプテンとしてチームを見事にまとめ上げていた【その人】が以前のような柔和な笑顔では無く、厳しい表情を私へ向け、私は戸惑いを隠せませんでした。

そして第一声が、「まずはサッカーの前に、しっかりした挨拶が誰に対してもできる事。そして真剣な態度でグラウンドに入り、練習に臨むこと。お前は、挨拶が出来ない!俺たちは先輩としてサッカー部と後輩を強くしなければならない。小学生のままサッカー部に入部は出来ないぞ!!」との事でした。

そんな事言われても、頭の中は?????な私は、まともな返事が出来ませんでした。


私の率直な感想は、

・いやいや緊張してるし

・そんな事解ってるし

・挨拶したけどな...「どうも!」って

・前と違う!!

今思えば、態度と言動、初日から友達感覚だったんでしょうね(今は違うんでしょうね。時代ですかね?)


その日の練習は、準備体操から最後の整地まで、ついていくのが精いっぱいだったのを覚えています。

家に帰って、食事もそこそこに寝入ってしまう程でした。




翌日、前日に【その人】から言われた一言が、益々身体を硬直させ、極度の緊張状態で朝練習から放課後まで過ごしました。

そんな日が何日か続いて、私はすっかり 先輩恐怖症とサッカー倦怠期 の二重苦に陥りました。

気付けば2日間、部活に顔を出す事なく、途方に暮れる毎日でした。

このままではいけないと頭ではわかっていながら、足が向かない日々。そこから救い上げてくれたのも【その人】でした。


部活に顔を出さなくなって3日目、朝練に顔を出さず、とぼとぼ通学していた私を、教室の前で朝練後の【その人】が待っていました。私は姿を確認し硬直。しかし、厳しい顔でこちらに向かってきた【その人】から発せられた言葉は、私の予想外でした。

「体調悪いのか?先生に聞いたら、元気が無いみたいだと言っていたが...大丈夫そうだな!お前の個別練習メニュー考えてあるから、今日あたりから部活来れるか?待ってるぞ!なんかあったら言ってこい。」

???怒られるんじゃ無かったのか?個別練習メニュー?俺のために!?


説明は難しいのですが、話している時の表情と言動から 自分が必要とされている 事がよくわかりました。

顧問の先生からも、【その人】が私を気にかけてくれていた事を聞き、それ以後、肩の荷が下りたように体が軽くなり、放課後が待ち遠しく感じるほどでした。



後日談として、【その人】になぜ初日に厳しい話方をしたのか尋ねたところ、

「少しでも早く上級生にお前たちを戦力として認知してもらい、良いチームが作りたかった。その為には、まずは会話ができる事が大事で、その次にプレーで表現する事が必要だと思ったからだよ」と言っていました。

その1でも書きましたが、サッカー部ができて日が浅かった事で当然部員も多くありません。幸い私たち1年生の入部は多かった為、その中から戦力となる選手が出てくることを期待しての発言だったのです。

凄いなこの人 と思いましたよ。

サッカーが上手いのは勿論、顧問と話し合いチーム/個人の練習メニューまで立案出来、学業も手を抜かず、シーズンになると他のスポーツでも地域有数の成績。

こんな人がいるんだなと、憧れるばかりでした。


この経験から、私は選手達に会話の重要性を説いているわけです。

プレーも勿論大事ですが、一人の人間同士として分かり合える事が大切だと考えます。

厳しいことも、自分の考えを相手に伝えるためには必要なのだと。

でも、前提として認め合っていないとならないのだと。



話は戻り、少しずつチームの一員となり始めた私でしたが、今度は高い壁が立ちはだかります。


つづく









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